2010-01-01から1年間の記事一覧

大人の発達障害を児童精神科医が診ること

日本の児童精神科医は、とても少ない。 子供を診るので精いっぱい。大人の人を診ることはかなり難しい。 しかし、大人であっても子供であっても発達障害を診ることは、やはり児童精神科医の専売特許にしておきたい。 そんな感じの葛藤をもつ児童精神科医は少…

精神科医のidentity crisisについて。

精神科医になってずっと思っている事として、はたして自分の仕事内容は、他の職種のひとや家族、あるいは患者さん本人でも出来るのではないか、というのがある。 精神科医しかできない事は、診断書を書く事と、薬を処方する事しかない。裏を返せば、その他の…

ボーダーの希薄化

最近あまり、エネルギーのあるボーダーの患者さんを見なくなった。と知り合いの医師達は言う。 特に、若い人たちに、その傾向は強いらしい。 僕自身、あまりボーダーの患者さんに巡り会う事が無いので、そんなものかな、と思う。 多分、日本の世の中全体がボ…

最近落ちてきた

久しぶりに気分が落ちてきた。なんか生きていてもどうなんだろう。とか思う。きっかけは仕事上のトラブルだが、過去これ以上の修羅場は何十回とくぐり抜けてきたはず。なぜこうも落ち込まなければないか。 原因はいくつかある。 一つは、オーバーワーク。こ…

リストカットに向き合う

他の医療機関でリストカットしてますと打ち明けたら、笑われたり頭ごなしに叱られたので、そこに行くのをやめた。という患者さんが立て続けにやってきた。 精神科医であれば、リストカットのことを打ち明けられたら、少なくとも真摯に話を聞かなければならな…

日本精神神経学会に行ってきた

全体的には「操作的診断基準に全面的に依存するのはどうかな」「薬を出すだけじゃなくて、ちゃんと精神療法もして、患者さんを人間として見なさいよ」と言う流れ。 学会中、森田正馬の「精神療法の基礎」(変態心理 7巻39号 1921)を読んでいたが、特に流…

患者さん他界

今日クリニックに通院していた患者さんが他界したという報告を受けた。 台所で息絶えた姿で倒れていたという。死後数日経っていた。身寄りがいないため、寂しいお葬式だったという。死因は心不全。 その人は、「近隣の人が自分に嫌がらせをする」と訴え、な…

病棟の想い出(11)

「病院機能評価」にパスしよう。というイベントが、複数の勤務先の病院であった。パスするには準備が必要である。今まですっと何となくやっていたところを、そのままで何ら問題がないのにもかかわらず、無理にマニュアルとか作っていく。患者さんの対応そっ…

病棟の想い出(10)

いろいろな病院で当直をしたが、ぼくはどちらかというと、当たる方だった。最後に勤めた病院でもよく当たった。 基本的に県の精神科救急の依頼を断らなかったので、トリージする情報センターのスタッフが頼みやすかったのだろう。 一晩の当直で、3人入院さ…

病棟の想い出(9)

当直中、入院患者さんの身体的急変したとき困るのが、搬送先を見つける事。 急を要する事なのだが、近隣の候補とされる病院をあたっても、断られる事が多い。 だいたい「ベッド満床」「当直医が処置中なので後でかけてくれ」などと先方の事務の人に言われる…

病棟の想い出(8)

ぼくの当直、あたる方であった。緊急入院も随分とったが、入院患者さんの身体的急変で、身体科病院に搬送なんてことがよくあった。搬送の際は、地元の救急に頼むことが多かったので、救急団員と顔見知りになり、「また先生ですか。この前の患者さん、どうな…

病棟の想い出(7)

病棟勤務のときは、当直業務が当たり前。 独特の緊張感があったが、それなりに楽しくうきうきするひと時でもある。 病棟で働いている夜勤の看護師たちとも、独特の連帯感のようなものが生まれる。 いままで複数の病院に勤務したが、いずれのところでも仕事の…

病棟の想い出(6)

開放病棟で働いているときは、無断離棟が多かった。覚せい剤精神病の人が、幻覚に支配されて1日に何回も離棟したときは参った。だいたいそんな病状の人を、開放病棟で診ようと言うのが間違っているのだが。 その人は混乱しているのか、離棟しても行動パター…

病棟の想い出(5)

10年前後前、慢性期病棟に長期入院している人と、ポールマッカートニーのライブに出かけた事があった。 その人はビートルズ好きで、古びた病室の畳の上にあぐらをかき、ラジカセでビートルズのテープを聴いていた。僕が担当になって2年目くらいのある日の問…

病棟の想い出(4)

10年以上前、衝動性の高い広汎性発達障害の男子を担当しているときの話である。 彼は、過去のある事柄を嫌悪感情とともにこだわっていて、それが原因で衝動的逸脱行為が頻発していた。 なかなか関係もとれず、入院治療は行き詰まっていた。 そこで何とか関係…

病棟の想いで(3)

思春期病棟で、患者さんと関わるとき心がけた事は、関係を作る事。ただ面接するのではうまく行かないので、いろいろな事をして関わった。一緒に病院の周りを走ったり、キャッチボールをしたり、プラモデルを作ったり、絵を描いたり、勉強教えたり。結構自分…

病棟の思い出(2)

患者さんの暴力がスタッフに向いたときも、結構つらいものがある。 えてして患者さんとの接触時間が多い看護が被害にあうことが多い。とくに女性だったりすると心が痛む。 事後処理も大事。患者さんの家族に連絡、被害にあったスタッフのケア、事務的な手続…

病棟の想い出(1)

思春期の患者さんは、衝動コントロールの力が育っていないので、面接中に爆発してしまい、こちらが思わぬけがをしてしまう場合がある。いくら治療者とはいえ防衛本能があるので、必死に防衛したところ、結果的に相手を傷つけてしまった事があった。 家族との…

大人の発達障害

最近大人の発達障害を診断治療して行く事に、ますます葛藤的になっている。 この不景気の中、やはりこのレッテルをいろんな意味で、悪用する人が出てきそう、というかもうでているか、 なので。あまりにもある事象の勢いが大きくなりすぎると、必ずその後は…

一日一悪

田口ランデイさんが、ブログで取り上げている言葉「一日一悪」。http://runday.exblog.jp/確かに実行するのは、至難の業である。 一日に一つしか悪事を働いてはいけない、という事である。 数日に一度複数の悪事を働くというのは、意外に簡単かもしれないが…

障害者の定義を広げる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100111-00000007-mai-pol手帳とか特児の診断書作成の際、IQが高すぎて微妙な場合、 診断名を「広汎性発達障害」ではなくて「自閉症」にしてください。 とかくだらないことを、お上に言われなくてすむのは、いいのだが。…

成長しない人

成長しない人は、たぶん成長するより、成長しないほうが都合が良いことがあるのだろう。当たり前のことだが。

隔離室体験

昔、隔離室に丸1日入った事があった。入れるばかりだと患者さんの気持ちに鈍感になるから。 持ち込み品はいっさいなし。食事は看護師さんに持ってきてもらった。夕方の5時に入室、明くる日の 午前中までは大丈夫だったが、午後からイライラし始めた。2日目…

講演の資料として

本屋に行き、講演の資料として役立ちそうなを沢山買ってくる。 でも、僕がオリジナルで話せるのは、日常の臨床で経験している話なんだよな。 そのばらばらのネタをつなぐのに、本からの情報を添えるって感じか。

父の遺言 その2

「のど仏の骨を、スリランカで購入した木製の仏像の中に入れて、仏壇に安置する事。」 という一文がある。 確かに、実家の仏壇には仏様がいらっしゃらず、ただの位牌置きになっているのが判明。 また仏壇の最上部の棚の高さと、スリランカの仏像の背丈はぴっ…

今年の抱負

今年はクリニック診察以外の仕事減らしたい。少なくとも新しい講演、執筆、嘱託などのオッファーは断ろう。 開業して2年、今までで一番忙しい。家族とは疎遠になるばかり。 去年生まれた三女が全くなつかない。上二人ともあまり一緒にいてやれない。 こんな…

マルコヴィッチの穴

前から気になっていた「マルコヴィッチの穴」を借りてきてみる。 「かいじゅうたちのいるところ」の予習としても。 どっかで聞いた話だなと思ったら、ジゾの患者さんの訴えの内容としてだった。 「小学校で自分をいじめた奴が、今度は僕の中に入ってきて、僕…