患者さん他界

今日クリニックに通院していた患者さんが他界したという報告を受けた。
台所で息絶えた姿で倒れていたという。死後数日経っていた。身寄りがいないため、寂しいお葬式だったという。死因は心不全
その人は、「近隣の人が自分に嫌がらせをする」と訴え、なかなか自分の部屋に帰らず、
昼は公的機関で時間をつぶし、夜も方々の公園で寝泊まりしていた人である。
ただ黙ってしおらしく時間をつぶすのなら良いのだが、いろいろなところで不平や文句を言い、業務に支障が出るということで、公的機関のスタッフに連れられて、去年の夏に僕のクリニックに受診した。
僕の前では、とてもしおらしいのだが、弱い立場の人には高圧的になり扱いにくかった。少量の抗精神病薬を処方し経過を見ていたが、相変わらず自宅には帰らない。他の用事である公的機関に行った際、偶然出くわしたり、車運転しているとき必死こいて歩道を自転車こいでいる人がおり、誰かと思って確認すると、まさにその人だったりした。
さすがに野外生活が苦になったのか、初冬には「入院したい」と言ってきたので紹介状を書いた。入院のあとは、ずいぶん勢いがなくなり、逆に家に閉居することが多くなった。クリニックには、予約をすれど現れず、薬も切れているはず、気になっていたところの報告であった。
執ように「おれは、家にいたくない、外の方が安心だ」と言っていたあの言葉は、この顛末を何となくわかっていたのかもしれない。
ご冥福をお祈りする。