病棟の想い出(1)

思春期の患者さんは、衝動コントロールの力が育っていないので、面接中に爆発してしまい、こちらが思わぬけがをしてしまう場合がある。いくら治療者とはいえ防衛本能があるので、必死に防衛したところ、結果的に相手を傷つけてしまった事があった。
家族との面会中に、不穏となりとりあえず家族と引き離し、落ち着かせようと二人でいたところ、そこでのこちらの一言がかんにさわったらしく、再び大暴れ。助けを呼んだがナースステーションまで遠く、だれも気づいてくれない。もみ合っているうちに、双方転倒する形になり、その弾みで患者さんの顔が面接室の机の角にあたり出血。そこでようやくスタッフが駆けつけた。結局、彼は隔離室に入り、そこでけがしたところを私がナートしたという苦い想い出である。
私の方も両頬を殴られ、引っ掻かれ、3週間くらい傷が消えなかった。何も知らない人からは、「夫婦喧嘩でもしましたか」と冷やかされた。
(プライバシー保護のため、部分的にかなり事実とは異なる脚色入ってます)