原発のこと

加藤典洋先生の本を読んで、漸く自分の考えがまとまってきたので、書き記しておく。
僕の原子力(核)に対する考えは、
「現在、原子力(核)を扱えるだけの力や技が人間にあるのなら推進を。それが見込めないのなら現状維持で、扱える力を持つまで待つ」
というものだ。考えてみれば当たり前である。多分大部分の人がこれを前提に議論しているのだと思う。

扱えるだけの力や技が実はあるのなら、科学技術の専門家はそれをアピールすべきである(実際しているのかもしれないが、日常生活を営む僕の所まで届かない)。本当は扱う技術は進んでいて、一家に一台家庭用原子炉とか、ポータブル原子炉が持てるまで発展していたりするといいなあ、などと夢想するのである。
しかし、こちらに入ってくる情報を鑑みる限り、現状はどうもそうではないらしい。それであれば科学技術が発展するのを待つしかないだろう。

代替エネルギーの話をする人もいる。しかしいずれのエネルギーであっても、現在の原子力エネルギーまほどではないものの、様々な弊害が出てくるだろう。副作用のない薬がないのと同様、弊害や問題のないエネルギー開発などないと考える。
そもそも科学技術開発のモチベーションって、人間の原始的な欲求を満たすことを目的とするものだ。楽して早く遠くに移動したい、美味いものをたらふく食いたい、夜を明るく暮らしたい、大きな音で音楽が聴きたい、これらはすべて我々が子どもの頃から持っている欲求であり、マズローの欲求階層説で言うなら下位のものである。
これらの欲求を満たす科学技術など、たかが知れている。このことが今の科学技術の行き詰まり、閉塞的雰囲気の原因の一つになっているのではないか。
もっと人間の今までの英知を、上級な欲求を満たす手段として使えないものなのかと思う。