臨床の勘について

医療現場での「医者の勘」というものが軽視される傾向にある。
今は、科学技術が成熟したため検査機器や治療方法が充実しており、医療従事者が直感に頼る事がなくなっているようにみえる。しかし、最後には長年の臨床経験の蓄積から無意識的に出てくる勘がモノを言う事が案外多い。
特に精神科臨床では、それに頼る事が多い。
近年、様々なマニュアルやプロトコールが出てきているが、そのようなものに忠実に従った結果、好ましい状態になる事はあまりない。しかし一方では、そのようなマニュアルに沿わないやり方は、医療を受ける側からいうと、不安を誘起しやすい。選択したやり方は直感から出たものなので、患者さんに理論的に説明できないのでさらなる不安を呼ぶ。このジレンマに悩む日々でもある。