消えたお薬

年末なので書棚を整理していたら、昔の医薬品集が出てきた。
ずいぶん消えたお薬があるなあ。

アバン

脳血管型認知症の人によく使っていた脳循環改善薬。1990年代中盤に使ったが、全く効いた気持ちがしなかった。当時から軽蔑のまなざしで見ていた先生も多かった。10年と持たず消えていった。


セレポート

当時の大学の教授が、メチルフェニデートにかわるADHDの特効薬として治験をしていた。なんだかドライシロップまで出ていたようだ。これも脳循環ふ活薬とかいう訳の分からん分類であったと思う。あの治験はどうなったのだろう。


メレリル

つい数年前消えた薬。抗精神病薬だが、新参のSSRIと相性が悪く追いやられるように消えていった。外来の患者さんでずっと飲んでいた人がいて、スイッチングに苦労した。その人は自閉症だったと思う。この薬も、セレポートを賞賛していた教授が好きな薬だった。彼の評価する薬は生存機関が短い。


ナーベン

いつの間にかいなくなった抗精神病薬。昔勤務していた病院で、慢性期病棟の患者さんが軒並みこれを飲まされていた。もちろんカクテル処方であるが。これが消えたとき、さぞかし担当医は大変だった事だろう。


薬の寿命って、意外と短い。だいたい向精神薬が開発されてからまだ1世紀たっていないものな。今どんどん出ている非定型抗精神病薬抗うつ薬なども、10年後はどのくらい残っているのだろう。すでにプラセボとほとんど効果の差がないSSRIがあるようだし。