1976.2.5-2.11

1976.2.5

技術の時間Rが「雪だ」と言ったので、窓の外に目をやると雪だった。いつもは白い校舎の壁も今日は灰色だった。雪だけが目立とうときらきら光っていた。僕たちに、

「そんなに暗いところにいないでこっちにでてきなさい」

と言っている。きがついたときにはそとにいた。教室の中に雪を持ってきたら怒られた。

午後、お父様の自転車をとりにいった。つくし野に行ったら原町田だと言って怒られた。怒られても雪は降る。クイーン特集を録る。

 

1976.2.6

今日の学校は、先生の会議とやらで5時間で終わった。僕は競歩で帰った。

「ただいま」

どたばた

「行ってまいります」

ボロ自転車に乗り突っ走った。

「おー」

Iくんが待っていた。Iくんの土地を見に行くのだ。いい土地だった。しかし地盤が悪いようだった。ときは市議て僕たちはダイエーにいた。I君が

「1980全然FM入らないだろう」

なるほどそうだった。あっというまの一日だった。Kくんは相変わらず眠い。

 

1976.2.7

ぼくたち学級委員は今日をかぎりにやめることになった。議長は結局Tくんがなった。つまらしいけどほっとした。

素晴らしく早く帰って飯を食ってラジオを聴いた。1週間で一番良い1時だ。空の雲を見ながら聞く。いろいろなことを考える。おもしろい。こんなひとときをいつまでも保ちたいものだ。今の時代は僕のようにこういうひとときを持つ人が少ない。やだやだ。

 

1976.2.8

一日憂鬱な一日だった。今日一日だった。少年野球をやめるかやめないか、行くか行かないか、それとぴーぴーうんぬんのことだった。

一日勉強をした。面白くない。うつろな日曜日だった。1食抜いたが、とても腹が減っていらいらした。一日が暗かった。今年一番暗かった。手探りで物事をやった。今考えると遠い昔だ。昔なのだ。今ではない昔なのだ。暗い暗い昔なのだ。外は晴れ内は暗い。

 

1976.2.9

今日はいつもと同じようにテニスをやった。今やっているところもいずれは車がぶんぶん通ることだろう。この地殻にテニス場があればいいんだ。と考えるけどできそうにない。

あーあ、早く大学生になってアメリカに行きたいなあ。アメリカならテニスも盛んだし、こう家がごちゃごちゃしてないし。どこまでも続く広い草原で一日中走り回りたい。

もうこんなせまいラッシュ時の電車に載っていることはない。今すぎ降りて自由になりたい。

 

1976.2.10

馬鹿だよなー。みんな騒いでよー。馬鹿笑いしやがったよー。

下校時、Iくんが「こっちから帰る」と言って帰った。途中で小さな犬がいる。とてもなつっこい。チロとは比べ物になんない細よく走る。よく体が動く。チロも昔はこうだったなー。あのときはもう2度と帰ってこないのだなあと思った。時間は速い。すごく速い。今はその速さに驚いている。

 

1976.2.11

今日は大山に登った。伊勢原で降り、でっかいどしんとした大きな大山へ直進した。

バスを待っているとき、4人の僕くらいの男の子がいた。リュックがいやにでかいと思って覗いてみると無線機だった。あと2つくらい持っていた。登山服も靴も揃っている。ぼくなんかこの青い靴をやっと買ったのにと思った。僕は決して贅沢なんかしていないのだなあと思った。そして今が一番幸福なんだなあと思った。